大学概要【2022年度実施分】学生が生み出す「社会とつながる場」のデザイン

理工学部

学生が生み出す「社会とつながる場」のデザイン
実施責任者:高井 宏之

モチベーションが高く建築設計課題において優秀な成績をおさめる選抜された学生を対象とした、教育プログラムであり次を実施する。
1)年初に教員が希望者(2年~M1)を募り企画?実施する。
2)教育コンテンツは下記であり、「社会とつながる場」はZOOM等を活用し学外も視野に入れ、発信対象は在校生に高校生等を加える。
?学生主体の特別講義の開催(2回)
?学生主体の建築設計作品の特別講評会の開催(1回)

ACTIVITY

藤村龍至氏の建築作品の視察と事務所訪問

2022/11/22

 10月中旬に学生と共に、藤村龍至さんの建築を見学しました。
 初日は、藤村氏に「母の家」を案内していただきました。
 「母の家」はニュータウンの既存住宅の改修で、地域に開くプロトタイプとして設計されているとのこと。ニュータウン開設当初から、生垣や緑に対する街区意識を紡いできた良好な住宅街にあります。当日はその周辺地域を散策しつつ、説明をしていただきました。
 「母の家」は外観を大きく形態的に変更することなく、塗装や植栽、窓サイズなど小さな変更ながら街区との関係が丁寧に紡がれるもので、街並みを次世代に繋ぐ改修の考え方が明快に示されています。また内部空間では平面上の軸線を大胆に転換し、閉じられてきた住まいの中に、道沿いに長く地域に開かれる部分を段階的に開放しつつ設定しています。
 いずれの建築的手法も、かなり知的に検討整理された内容ながら、おそらく周りの一般住民も共感を示して、踏襲してみたいと思わせる穏やかさを共存させていました。
 学生達は、なかなか現地でないと理解できない、様々な状況の重なり合い、その中に位置付けられた建築のあり方を理解し学んだ様子でした。

 2日目は、事務所訪問をし、最新のプロジェクトについて聞かせていただきました。午後はBUILDING Kへ。建築はやはり、空間を体感しないとその真価が分からないことも多く、現地にて設計者から直接設計?デザイン立案のプロセスを説明いただき、学生から積極的に質問をすることで意見交換が活発に行われ、充実した2日間となりました。

藤村氏より、ニュータウンの街区の形成について説明を受ける

藤村氏とニュータウンの周辺地域をめぐり、理解を深める

「母の家」視察

RFA(藤村龍至氏の設計事務所)を訪問し、最新プロジェクトの説明を受ける

鶴ヶ島太陽光発電所環境教育施設の視察

学生主体の特別講義 建築家 平田晃久氏

2022/12/27

■平田晃久氏とのオンライン打ち合わせ

 
 本チームでは、12月に建築家として活躍されている平田晃久先生の「作品見学?設計事務所見学」と「名城大学での特別講義」をしていただく機会を持ちました。平田晃久先生は環境と共存した住宅や太田市美術館?図書館、9h(ナインアワーズ)というカプセルホテルなどの作品で有名な建築家です。
 2022年9月26日にズームオンライン会議にて、作品見学?設計事務所見学と名城大学での特別講義に向けた、平田先生事務所と参加学生間での打ち合わせを行いました。平田先生と所員の外木裕子さんが参加して下さり、学生からプロジェクトの概要、今後の予定、作品見学の候補地、事務所訪問時に聞きたい内容を発表し、平田先生と外木さんから見学する作品や事務所訪問についてアドバイスを頂きました。

 
■平田晃久氏の建築作品の視察と事務所訪問

 
 2022年12月4日と5日に東京都と群馬県にて、平田先生の作品見学と平田晃久建築設計事務所の訪問を行いました。
 1日目は、新幹線で名古屋から東京に向かい、自然や地元の活動を取り込むような建築である太田市美術館?図書館や住宅作品を見学しました。夜は平田先生設計のカプセルホテルであるナインアワーズに宿泊し、1日たっぷりと平田先生の作品の世界を体験することができました。
 2日目は、まず平田晃久建築設計事務所を訪問しました。最初に平田先生と対談を行い、作品の解説や設計の時に考えていることなどをお話しいただきました。その後、事務所の所員の方に事務所内を案内していただきました。進行中のプロジェクトなどについて、担当者の方に解説していただきました。学生からの質問にも答えていただき、双方向のやり取りのある有意義な時間となりました。事務所見学後は商業施設などの平田先生の作品を見学し、2日目も非常に刺激のある1日になりました。

設計事務所で平田先生からお話を聞く

模型を囲って担当者の方から説明を受ける

初期の作品であるSarugakuを見学する

最近の作品のひとつである太田市美術館?図書館を見学する

 
 

■平田晃久氏の学内特別講義

 
 2022年12月13日の夜に、名城大学天白キャンパスに平田先生をお呼びして特別講義を開講しました。ズームオンライン会議による同時配信を行い、全国から高専生を含む100名以上の参加がありました。特別講義までの間、作品見学と事務所訪問の内容を踏まえ、特別講義の初めに行う学生発表に向けて準備を進めました。また、特別講義のフライヤーを学生が作成しました。
特別講義は、学生からの作品についての発表を15分ほど行い、その後に平田先生からの見学作品を中心とした講義、最後に質疑応答を約15分という構成でした。はじめの学生発表では、平田先生の作品全体を通した学生の解釈、各作品の紹介、作品見学時の感想や気づきをまとめて発表しました。その後の平田先生からの講義では、作品の解説とともに、建物竣工までの裏話や平田先生の考え方のひとつである「からまりしろ」が発生して発展していく過程についてのお話がありました。最後の質疑応答の時間には、参加者3名から質問があり、平田先生が設計時にモチーフにしている生き物や現在設計時に考えていることなどの解説をしていただきました。

特別講義の様子

作品を示しながらお話をする平田先生

 
 今回のプロジェクトでは、最初のオンライン打ち合わせから作品見学?事務所訪問、特別講義まで連続して一人の建築家を追うことで、第一線で活躍する建築家の考えを、肌で感じながら学ぶことができたと思います。

京都市の建築作品「椎葉邸」の見学及び萬代基介氏の特別講演の実施

2022/12/28

本事業では、学生が自ら選定した建築家の下を訪れ、建築家作品見学と講演会打ち合わせを行います。その後、建築家には大学にもお越しいただき、当日は、建築家講演と学生による建築家作品解説の発表も行います。なお、講演会当日は、講演会当日はオンラインで社会一般にも開くことで、学びのコミュニティをさらなる広い対象へと広げていきます。

今回は、京都市にある個人邸宅「椎葉邸」の視察結果と、萬代基介氏の特別講演の模様を報告します。

椎葉邸は、改修前の昔ながらの住宅建築を解体?再生した躯体と、その周りの新築の下屋で構成されています。建築家による両者の調停は見事で、古き良きものと新しい素材が融合した開放的でかつ、どこか懐かしい魅力的な空間となっていました。「徹底的に向き合う」という建築家の言葉は重く、見学した学生たちは、建築物の検討にかけられる膨大な時間と情熱に圧倒されるとともに、だからこそ生み出される空間の美しさに圧倒されていました。

講演会当日は、単なる建築作品の紹介のみならず、建築ができるまでの検討過程や進行中のプロジェクトの紹介も行っていただきました。学生による建築家作品紹介や感想発表も、多くの人の前での発表という貴重な機会となりました。

学内で60名強の受講があり、オンラインで40名強の聴講がありました。オンラインは学生のみならず日本全国の建築関係者の応募もあり、大学での講演が社会とつながる時間となりました。

見学会の様子

建築家からの説明を受ける

建築家講演会の様子

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