育て達人第155回 土屋 文

学内のリチウムイオン電池研究者 吉野彰教授との共同研究に期待

理工学部 教養教育 大学院理工学研究科材料機能工学専攻 土屋文 教授(エネルギー材料工学)

リチウムイオン電池の原型を開発した吉野彰大学院理工学研究科教授の研究に最も近い学内の人材。10月のノーベル賞受賞者発表の日には、吉野教授の業績の解説役を担う予定でした。受賞は見送られましたが、世界的な研究者との共同研究を希望しています。

吉野教授の研究と近いのはどのような部分ですか。

好きな言葉を色紙に書いた土屋文教授

好きな言葉を色紙に書いた土屋文教授

吉野先生の研究と私の研究では、リチウムイオン二次電池の開発という点で重なります。吉野先生は現在市販されている、軽量?小型化したリチウムイオン二次電池の原型を世界で初めて確立しました。リチウムイオンを移動させる部分(電解質)は液体であるため、液漏れや発火などが現在の問題点になっています。この電解質を液体から固体にすることでより安全性を向上させた、新しいリチウムイオン二次電池の開発を目指しています。

具体的には。

電解質を固体にした「全固体リチウムイオン電池」の研究です。ごく薄い膜状の電池の実現が期待されています。

学術研究支援センターが刊行した研究シーズ集には多彩な研究分野が列挙されています。そのうちの「エネルギーに関連した新規な機能性材料の開発」とは。

エネルギーに関連した材料とは、例えばリチウムイオン二次電池や燃料電池(水素を燃料とした電池)などの電力供給源に使用される材料が挙げられます。イオンビーム分析を利用して、材料中のリチウムイオンやプロトン(水素イオン)の挙動(動き)を調べ、リチウムイオンおよびプロトンの移動しやすい材料や蓄えやすい材料を探索しています。

教養教育ではどのようなことを教えていますか。

理工学部1年生の一部を対象に、物理学(力学)と物理学演習の講義、物理学実験の指導を担当しています。

大学院ではどのようなことを。

大学院の授業は「ナノ分析特論」です。材料の元素や構造、電子状態などを調べるための分析装置の原理とその応用について教えています。

学生の指導で心がけていることは何ですか。

講義では、物事を一生懸命覚えるのではなく、そのことに興味を持ち、よく考えて理解して、自然と頭に残る勉強をするように指導しています。また、実験では、観察力を身に付けることも大事ですが、それ以上にイメージする力(洞察力)を身に付けるように心がけて指導しています。

吉野教授も観察力と洞察力の大切さを若い人に身につけてほしいと言っています。学生や、名城大学を志望する受験生へのメッセージをください。

やりたいことが現れた時は、ちゅうちょせず何事にも挑戦してください。

この際、強調しておきたいことがあれば何なりと。

夢を持つことは大切です。その夢を実現するために、今何をすべきか、どの方向に進めば良いかが自分で分かるようになります。夢に向かって努力し続ければ、いつかは必ずその夢をかなえることができます。

在外研究で渡米した時はどのような生活でしたか。

2014年9月から1年間、ロサンゼルスから北西に160 km離れたサンタバーバラという海辺の町で生活をしました。自然がとてもきれいで、1年を通して20~25℃と温暖な気候でした。カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究室で、学生に戻ったような気持ちで、生活も研究もとても有意義にこなすことができました。2014年にノーベル物理学賞を受賞した中村修二先生の研究室が近く、よく姿を見かけました。

趣味、好きな言葉などを聞かせてください。

趣味は硬式テニスです。好きな言葉は、好きこそものの上手なれ。野球は阪神ファンで、研究室に飾ってある色紙は、妻と同郷(茨城県)の元阪神投手、井川慶さんのものです。

表面分析装置を学生らに説明する土屋教授

表面分析装置を学生らに説明する土屋教授

土屋 文(つちや?ぶん)

横浜市出身。1998年、名古屋大学大学院工学研究科結晶材料工学専攻修了。1998年、博士(工学)。同年、東北大学金属材料研究所助手。2007年、同研究所助教。2010年、名城大学理工学部准教授、2017年4月から現職。日本金属学会、日本原子力学会に所属。論文に「反跳粒子検出法による全固体リチウムイオン二次電池内の軽元素の動的解析」「Effects of Ion Irradiation on H2O and CO2 Absorption and Desorption Characteristics of Li2ZrO3 and Pt-coated Li2ZrO3」ほか。

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