育て達人第047回 高橋 友一

学生たちの「図書館応援団」に期待   IT環境とのリンクで教育支援

附属図書館長、情報センター長 理工学部 高橋 友一 教授(情報工学)

 附属図書館の運営に学生の声を反映させようと「図書館応援団」が活動を始めました。一方では情報センターが窓口となって、本学とマイクロソフト社がITによる教育環境の充実を目指して提携したことも発表されました。附属図書館長、情報センター長を兼務する理工学部の高橋友一教授にお話を聞きました。

――附属図書館長と情報センター長とに就任して3年目。どんなスタンスで臨んできたのでしょう。

「図書館に興味のある人はぜひ応援団に」と呼びかける高橋教授

「図書館に興味のある人はぜひ応援団に」と呼びかける高橋教授

 いずれも一般社会で言うならサービス業であるという位置づけでやってきました。ともに、大学の予算を使っているわけですから、利用者に対しきちんとしたサービスを行い、運営についてしっかり説明責任を果たすことが大切と思っています。

――10月には「図書館応援団」がスタートしました。

 図書館運営に学生の皆さんにも関わってもらうことで、明るく親しみやすい図書館を一緒に作っていこうという狙いです。スタート時点では法学部や理工学部などから6人の学生の方が参加してくれました。今後、さらに参加者を募り、広報活動にも加わってもらい図書館からの情報発信も活発化させていきたいと思っています。図書館はこれまでも、学生サービスにもっと力を入れなければという思いはありながら、学生たちのニーズを的確に把握しきれてはいませんでした。図書館で購入される本も以前に比べたらかなり学生の声が反映されるようになりましたが、学生の求めるサービスをさらにしっかり受け止めることが大切だと思います。

――情報センターも学生たちがパソコン操作などでサポート役をこなしていますね。

 情報センターでは学生スタッフによるヘルプデスク制度というものがあり、パソコンの設定ができないとかうまく使えないという学生や教員たちの相談をはじめ、情報センター管理に対する全般的なサポートをお願いしています。情報センターの学生スタッフには謝金が支払われています。海外の大学にいくとこうした学生のパワーを上手に活用しているケースをよく体験します。授業への支障のない範囲で学内でアルバイトをするなど、教育的もいい制度だと思っています。将来は図書館でも、応援団がスタッフとして働いてもらえるシステムになればと考えています。

――明るく親しみやすい図書館ということではどんな点が課題になりそうですか。

 附属図書館の年間利用者は毎年6~7万人でこの数年、大きな変化はありませんが、まだまだ改善すべき点はあると思います。一般書店の中には店内にベンチを置いてじっくり本を読んでもらい、後でインターネットでの注文を受けている例もあります。コーヒーで一息つけるよう、館内にスターバックスの店舗を入れた国立大学図書館もあります。図書館と言えば静寂なイメージにこだわりがちですが、インターネットで検索した内容を原著で確認する、友達と情報交換しながら文献を調査する、コーヒーを飲みながら新聞や軽い本を読むコーナーで気分転換する利用形態があってもいいかも知れません。利用者の立場から求められるサービスについて広く議論したいと思っています。

――マイクロソフト社との連携ではIT教育環境づくりでの支援が全学的に大きく動きだしそうです。図書館とのリンクも出てくるのでしょうか。

 はい。前の質問にも関連しますが、今までの図書館は、授業で課題図書に指定された本を複数置くことしかできませんでした。これを、学生が受講科目を選択する際に、シラバスをクイックすれば図書館システムにリンクして、「この本は図書館にありますから借りたらいかがですか」というアドバイスもできるような利用も考えられます。

――IT活用の話が出ましたが、例えば附属図書館地下の書棚の古い本を開くと、データ検索では探せなかった本とも出合うこともあります。

 図書館のいいところは、一冊の本を借りるために書棚の前に立つと、関連する周囲の本が目の前にあり、実際にを手にとって、開いて見ることができることです。電子書籍のように、内容的にもデジタル化されていく流れもありますが、本は本としての利用スタイルは存在すると思います。附属図書館に収められている本の内容をデジタル化することはありませんが、どの本がどこにあるかの管理をしっかりとデータ管理することはさらに大切になると思います。

――学生へのアドバイスをお願いします。

 附属図書館、情報センターはこれからも一層、責任あるサービスをします。学生の皆さんは提供されるサービスを利用して役立て、それぞれの目標に向かって頑張ってほしいと思います。

高橋 友一(たかはし?ともいち)

名古屋市出身。名古屋大学理学部物理学科卒、同大学大学院工学研究科修士課程修了。工学博士(名古屋大学)。日本電信電話公社などの研究員を経て2003年4月から名城大学理工学教授。07年4月から附属図書館長、情報センター長。著書に「小型ロボットの基礎技術と製作―Robo Cup小型リーグへの挑戦」(共立出版)など。57歳。

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